2021年03月31日
「きれいごとじゃない、外国人採用のメリットとデメリットを知りたい」
「実際に採用している施設の話を聞きたい」
「自分の施設が外国人採用に向いているか知りたい」
LGSはこのような疑問に応えるべく、実際にミャンマー人技能実習生を介護施設で採用している、社会福祉法人緑樹会の皆さまへインタビューしました。
(以下、インタビュー内敬称略)
——— 本日はお時間をいただきありがとうございます。では早速、ずばり外国人採用のメリットとデメリットについて、教えてください。
柏木:一番のメリットは、彼らが真面目で明るく、前向きに働いてくれることです。真面目な分、仕事も日本語も吸収が早いようです。デメリットは、受け入れる前の準備や、受け入れ後の教育に時間とコストがかかることです。しかし、総合的に見たときに人材として育てれば育ちますし、日本人に対しての人材育成といった面で実習生は模範的な行動をしてくれるので、施設全体への影響はいいことが多いです。
メリット:真面目で前向き、仕事の上達が早い
——— 「真面目で仕事の上達も早い」というのは、日本人と比べてもそうなんでしょうか?
岡村:介護は人の命に携わる仕事なので、厳しく指導していますが、日本人と比べてもとても一生懸命で上達がはやいですね。
——— 実際にどのような場面でそれを感じましたか?
岡村: 分からないことはすぐ聞くし、分かっているといった場合は本当に分かっていることが多かったんです。日本人と違ってメモを取る習慣はありませんでしたが、その後の仕事をみてもちゃんとできていたので驚きました。
水口:現場を目でみてしっかり記憶しているようで、同じような作業をする場合は吸収が早い印象がありました。
デメリット:受け入れや教育に時間とコストがかかる
——— 教育面について現状の課題は?
岡田 :日本語の上達ぶりがすごくて、日常生活で困ることはないのですが、介護の専門用語などはまだ勉強は必要だとは思います。
水口 : とはいえ見て覚える部分が大きいので、実際にやってもらって細かいフィードバックをしていくイメージです。華奢なので実際に技術は必要だと思いますね。
ここから分かる、外国人採用に向いている施設・向いていない施設の特徴は以下の通りです。
——— 技能実習生を採用するに至ったきっかけを教えて頂いてもよろしいでしょうか?
矢野:将来的な人手不足を予想して外国人採用は検討していました。今よりもっと人が少なくなると、人を育てることも難しくなる。そうなる前に採用したいと思っていたのですが、正直不安な点も多かったです。そんな中でお世話になっている法人の方と一緒に実際にミャンマーへ視察へ行く機会があったのですが、そこで出会った候補者の方々の真面目さと仕事への前向きな姿勢に心打たれ、急きょ面接をお願いして採用が決まりました。
——— すぐに判断できた理由等ありますか?
矢野 : すごいピュアな感じがして、お話を伺っても自分のためにお金を稼ぐというより、休学して兄弟や親のために働くという意思を感じました。また、話していく中で悲壮感のようなものは感じず、兄弟を学校に行かせるためなどより良い暮らしをさせてあげれるというところに前向きに明るく向かっているという印象を受けました。そうすると、人が足りないからほしいという気持ちではなく、私や理事長がミャンマーの方々に感じた印象を、現場で日本の職員にも感じてもらい、いい刺激を与えられたらなと感じて採用を決めました。
——— 2回目の受け入れにあたり、弊社を選んでいただいたと思いますがそちらの理由も合わせて伺ってもよろしいでしょうか?
矢野:2期生受け入れにあたり、1期生組合からLGSさんへ変更したのは、当初のご担当者が丁寧でかつ迅速に対応してくれたため、信頼できると思いました。
——— 外国人受け入れに対して、不安はありませんでしたか?
柏木:日本人の仕事に追われてしまって入居者様1人1人と向き合いきれていない中で、外国人の方は入居者様と向き合ってゆっくり話をする機会を作ってくれるのではないかと期待していました。利用者様については、これまで外国人の知人を連れてきても問題なさそうで、職員となると話は違いますが寛容に迎え入れていただけるのではないかと考えていました。
——— 現場のみなさまは実際どうでしたか?
岡村:最初聞いたときは大丈夫なのかと心配でした。現場の職員も入居者様も、外国人の存在をどう思うか分かりませんでしたから。でも、その部分は結果として問題ありませんでした。最初のほうこそ言語がつたないとか、課題があったのですが、年齢層の高い日本人職員にとって実習生は娘のような感覚になるようで、面倒を見てくれています。入居者の方も日本人より親しくしていて(笑)実習生側が壁を作らないのも大きいですね。
水口:「遠くからきて大変ね~」みたいな感じで(笑)
——— ホームシックになったりしてますか?
岡田 : あるとは思いますが、表には全く出ないですね。
柏木 : みんな電話してたり。
矢野 : Facebookとかね。
柏木 :我々としては、他の事業所さんに入っている実習生と交流会を開いたりしてます。ただ、本当に寂しい思いをしているんだろうなと思うことは多く、なんでも相談に乗るようにしています。
——— 日本語力などの課題に対しては何か取り組まれていましたか?
矢野 : 理事長が色々教材を買ってきて、日本語だけじゃなく介護の勉強をしています。
柏木 : やっぱり現場に技術以外の教育工数を取らせてしまうと大変だと思うので、現場じゃなくても学べることや、基礎的なことは法人としてもサポートしています。そうすることで現場での吸収が早くなることもあるかなと思っているので。
——— 他に何か取り組まれていますか?
柏木 : 畑を自由に耕せるようにしていたり、日本文化を知ってもらうために着物を着る体験をしたりしています。彼女たちが望む辛いものが日本にはあまりなくて、唐辛子を育てていました。入居者様の好みとかも分からないかなと思ったので、日本食も食べてもらってましたが、やっぱりいちばん落ち着くのは食事ということでそこはなるべく提供してあげていました。着物のイベントもかなり喜んでもらえました。
——— そろそろ受け入れから1年たちますが、今後は何か考えていますか?
矢野:まず実習生には滞在を延長するため、介護の試験に合格してもらう必要があります。
柏木:1年間頑張れているわけなので、心配もありつつ、安心感はありますね。我々の今後の課題としては、継続的に実習生を受け入れていくための体制を作っていくことです。
実習生を受け入れた背景には、やっぱり高齢化が進む中で海外の人の力を借りなくてはいけない場面が今後必ずあると思っているからです。とはいえ単なる労働力としてではなく、一人の人間として一緒に成長していけるようになれれば、介護業界がもっと活性化していくのではないかと考えています。
——— とても納得のいくお話でした。本日はありがとうございました!
今回は介護施設で技能実習生を採用している社会福祉法人緑樹会の皆さまへのインタビューで分かった、介護業界における技能実習生のメリットとデメリットは以下の通りです。時間とコストがそれなりにかかってしまうことは否めません。その一方で仕事の質という面では、外国人人材は日本人に負けていないといえるでしょう。
メリット
- 日本人と比べても人材の質が高い
- 仕事に前向き
- 真面目
- 吸収・上達が早い
- 施設全体の雰囲気が良くなる
- 入居者様・職員の皆さんにも気に入られる明るさと愛嬌
デメリット
- 初期の段階でどうしてもコストはかかってしまう
また、今回インタビューを通して受入企業側の努力や苦労、利点がより具体的に理解できました。特に現場で直接実習生と触れ合う方から、「仕事に対する姿勢」「入居者様との関係性」など利点がある一方で、「文化の違い」や「言語力/技術力」は企業側も実習生を理解する時間や努力を費やさなければならない点を改めて学びました。
弊社としても、こういった事例から学びを増やしより良いサービスを実現できるように改善を行える点を再度認識致しました。
2021年11月11日